読書感想文

さかなくん著『さかなのなみだ』せまい世界を出て楽しいことを見つけよう【書評】

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sakananonamida - 1

先日、Facebookにポストした僕の投稿に対して少し反響があった。

せまい場所にいては、なかなか「自分の存在を認める」ということができなくなってしまう。それが多感な時期ではなおさら。

そんな「現状を抜けだして、広い世界へ飛び出そう。そしたら自分の世界が広がるよ」と、自身の経験をもとに子どもたちへ(大人も)エールを送った本がこちら、さかなくんの本『さかなのなみだ』。

「いじめに負けるな!」とのキャッチフレーズで書かれた本だけど、大人も子供もぜひ一読して欲しい一冊。

さかなのなみだ
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ジャイアンはどこの環境でものび太を見つける

さかなくんは、とくいな魚の世界の話から話を進める。

とある水槽がある。そのせまい水槽では一匹の魚がいじめられている。可哀想だと思っていじめられている魚を別の水槽に移すと、水槽に残った別の魚がいじめられる。

人間社会でも同じ。

いじめの標的にされやすい人は一定居る。僕もそうだ。なんでかわからないけど、そういう属性らしい。

で、驚くべきことに、せまい世界ではいじめの標的がすぐ変わる。誰かをいじめないと気がすまないようだ。僕も自分が標的でないときは、周りの空気に流されてしまったことが無いとは言えない。人間は弱い生き物だから、空気にのまれることもあるんだろう。反省。

ジャイアンを別の水槽に移したら、別の魚がジャイアンになる。せまい世界っていうのはそれほどストレスがたまるものなのか?と。

・・・

・・

身近な人間社会でも同じようなことはないだろうか?

一人の人に対して当たりが強い上司。その言われている本人はどんどん辛くなって精神的に病んでしまったり、辞めたりする。

その人が辞めたあとは、別の人がターゲットにされている・・・。

辛くなってしまった本人は、責任感が強かったり、真面目だったりして(水槽の)外に出るという選択肢すら考えられなくなっている。

追い詰められるって、そういうことだと思う。

今でこそ他人の目を気にしない(ようにしても大丈夫だ)と気づけたので、幸せだけど、子供の頃はキツかった。毎日が楽しくない。なんか憂鬱だ。

せまいクラス、せまい会社、せまい国では起こりやすいことなのかな。

世界が広がると解決することもある

僕は北海道の札幌出身で、高校まで札幌で過ごした。

母がフィリピンのハーフなので、僕はクォーター。他の子供たち明らかに顔つきや肌の色が違った。当然、人と違うのでいじめやからかいの対象になりやすい。小学校の時が一番ひどかった。

でも、中学になってクラスが倍になり、全校生徒の数も倍になった。

自分のフィールドが「小学校35人のクラス」から「吹奏楽部100人以上」という大きな場所に移ると、肌の色や顔のことを言う人が激減した。

「なんだ、大したことないじゃないか」

さらに、高校に進学すると状況は好転しかしなかった。そこは「全道一区」の高校だったので、北海道のあちこちから生徒が集まってきていた。

集まってくる生徒の住んでいる場所もバラバラ。僕は片道10キロくらいから通っていたし、隣の市から通ってくる人も多かった。

高校生になり大人になってきたのもあるし、親から自立し始めて個性が出てくる年頃。僕の顔つきや肌の色など目立たなくなった。

そして社会人。ついにクォーターなんか珍しくもなんともなくなった。

僕の例だけ言うと「大人になるまで待てっていうの?無理」という声が聞こえてくるけど、環境を無理やり変えるのも一つの方法。

趣味の世界のコミュニティーに入ってみる。全く違う世界の人と関わってみる。

多感な子供の時期は、大人が手助けをして「斜めの関係」を作る。家族や兄弟だけの関わりではなく、おじさん、おばさん、近所のお兄ちゃん、親戚の赤ちゃん、と関わる時間を増やす。これだけでも世界がかなり広がる。

我が家が一年に何度も「複数の家族で」キャンプやアウトドアを楽しんでいるのは、この役割によるところが大きい。

実際、友達のお父さん、お母さんたちはこどもと一緒に料理をしたり遊んだり、またまたキャンプ中にお風呂に入ったりするので、とても刺激になる。

家庭内完結しないというのはとても大事なことなのだ。

学校もそう。なぜか同じ学年で囲われ、同じ学年の友達と関わる時間が多い。

最近、それを疑問に思う人が少しずつ増えているように感じるが、まだまだこの体制に風穴をあけられないのだろう。

もっと学年も地域も広く交流するのが当たり前になれば、子どもたちの世界も広がり、いじめもなくなるのではないか?悩む人が減るのではないか?そう考える。

せまい水槽を飛び出して、広い梅へ出てみよう!

sakananonamida - 2

だいぶ話がそれたが、実体験や考えていることを交えて綴ってみた。

さかなのなみだは、子どもを救ってくれるのはもちろん、大人も救われる内容。

「自分が変わらなきゃ」というのは、自分を環境に適応させるのではなく、自分が過ごしやすい場所、違う世界に行っても良い。と許可をする。ということ。そうすると、十分変わっていけるよね。

さいごに、とても印象に残った言葉を引用して締めます。

外には楽しいことがたくさんあるのに、もったいないですよ。広い空の下、広い海へ出てみましょう。

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この記事を書いた人

office Tim33代表。クラウドファンディングプロデューサー / 取材・ガジェットライター / 写真家 / 講師 / メタルドラマー
ペットボトル工場オペレーター→ライターに転職。今どちらも歴11年。
生まれも育ちも札幌で実家が沖縄の埼玉人。スペインとフィリピン、長野、広島、沖縄にルーツがあります。
CAMPFIRE公式キュレーター、とちぎファンズサポーター
趣味は格闘技観戦とラーメン巡り、調べること。
詳しいプロフィールはこちらからどうぞ→プロフィール

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